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- ピロリ菌
1. ピロリ菌とは
これまで、胃の中は胃酸による強酸性のため、細菌は生息できないと考えられていました。しかし、1980年代に胃からピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が見つかり、様々な病気と関係していることがわかってきました。日本人は欧米人に比べピロリ菌の感染率が高く、2人に1人は感染者といわれており、年齢が進むにしたがって感染率も上がっていきます。
ピロリ菌の感染はほとんどが小児期です。衛生環境の悪い井戸水や、噛み砕いたものを口移しで乳幼児に与える、などが感染経路として考えられています。
2. ピロリ菌が関係している病気
胃の病気 | 慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ など |
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胃以外の病気 | 血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血(主に小児)、慢性蕁麻疹 など |
3. ピロリ菌感染の診断
ピロリ菌がいるかどうかの検査法は、内視鏡を使う方法、血液検査、糞便検査、呼気検査などいろいろあり、それぞれに長所、短所があります。
4. 除菌治療
ピロリ菌を退治する除菌治療は、アモキシシリンとクラリスロマイシンという2種類の抗菌薬とプロトンポンプ阻害剤と呼ばれる胃酸を抑える薬、合計3種類の薬を一週間内服して行います(1次除菌)。
1次除菌に失敗した(退治できなかった)場合は、ご希望があれば、2次除菌を行います。
2次除菌では1次除菌のうち2種類の薬は変えずに、クラリスロマイシンの代わりに、メトロニダゾールという別の抗菌薬を使います。
保険診療による除菌治療は、胃十二指腸潰瘍、胃がんの内視鏡治療後、胃MALTリンパ腫、血小板減少性紫斑病などで認められていましたが、胃がんの発生とかかわりの深い慢性胃炎は適応外でした。しかし、平成25年2月に慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)も保険適応となりました。
5. 当院での除菌成績
平成13年2月から令和3年12月まで、971人のピロリ菌陽性患者さんの1次除菌を行い、除菌成功(ピロリ菌を退治できた)率は76.1%で、最近の一般的な報告とほぼ同じでした。最近5年間に限れば90%以上の成功率となっています。
2次除菌は、1次除菌に失敗された患者さん247人に行い、96.4%という高い除菌成功率でした。
ピロリ菌の検査方法や除菌治療の必要性、除菌の長所、短所(薬の副作用も含めて)に関しては、お気軽にご相談ください。